50代というと、そろそろ老後を迎えるための準備を始める方も多いと思います。
老後資金はいくら用意しておけばいいのか、介護が必要になったらどうするのかなど、心配事はたくさんあります。
そんな心配事を少しでも軽くするため、50代ならではの生命保険の選び方について詳しくご説明していきましょう。
50代の保険は現状維持プラス老後準備を念頭に
20代や30代の場合、老後の心配よりも、万が一のときの生活維持が重要なポイントとなっていました。
しかし50代となると、現状の生活はもちろんですが、老後の準備を始める時期でもあります。
そのために今までかけていた保険を見直して、将来を見据えた内容に変更することも重要です。
老化とともに健康に関する保障も大切ですし、リタイア後の生活資金の確保も必須です。
そんな50代の方に適した保障の考え方と、ライフスタイルごとの選び方を詳しく見ていきましょう。
医療保険と死亡保険について
医療保険
生活習慣病や三大疾病(がん・脳血管疾患・心疾患)のリスクが高まる50代には、それらが手厚い医療保険が適してきます。
以前は大きな病気の場合入院期間が長期になりましたが、最近の医療の進歩とシステムの変化に伴い「短期入院・長期通院」へと病院の関わり方も変わってきました。
そこでおすすめなのが、検査入院や半日入院などの短期入院でも即日保障があり、通院の保障日数もしっかりした医療保険です。
ただし三大疾病の一つ脳血管疾患での平成29年度の平均入院日数は80日となっているので、三大疾病に関しては入院日数無制限になるものほうが安心です。
通常の医療保険に特約としてガンや三大疾病をつけている場合、保険会社によって保障範囲が変わってきますので保障対象が限られてしまう場合もあります。
そんなときは各社、得意分野が違うという特性をまずは理解して、保障内容を比較しながら、医療保険とがん保険などの特定疾病を別々にかけるという方法もあります。
また「夫婦型」の保険に加入している方は、注意が必要です。
夫名義で妻の保険も賄っている場合、夫がなくなったと同時に妻の保険適用も消滅してしまう可能性があります。
男性よりも女性の方が平均寿命が長いことを考えると、「夫婦型」に加入中の方は保障内容をしっかりと確認しておいてください。
新たな保険に加入を検討されている場合、必ず健康状態の告知が必要となります。先々加入を検討されているのであれば、健康なうちに加入することをおすすめします。
現在加入中の保険が更新型であったり、定期保険の特約としてがん保障などをつけている場合も注意が必要です。
50代は疾病リスクが高まることから更新後の保険料が跳ね上がってしまったり、保険の払込が終了した時点で特約保障が消失する内容の保険もあります。
今後もずっと保障のある保険かどうか、家計に負担となってしまう保険料の値上がりはないか、現在の内容を確認し不足や不安、懸念がある場合は、確実に安心できる保険への切り替えをおすすめします。
死亡保険
20代や30代の頃は、万が一のために残された家族への生活費や学費として保障金額の高い保険に加入していた方も多いかもしれません。
しかし50代となると、子供もある程度自立するので確保しておかなくてはいけない金額も大きく変わってきます。
もしも定期保険の更新時期であるなら、更新はあまりおすすめできません。理由としては、保険会社によって多少は異なりますが、基本的に10年ごとに保険料が2倍程度上がっていくので、先々家計を圧迫する可能性が出てきます。
特に保険金額が一定のままで、保険料が約2倍近く値上がりしてしまう更新タイプの場合は、お子さんが独立するのを機に見直しをして解約してもいいかもしれません。
もしも今後、保険を検討するのであれば、終身保障の保険をおすすめします。加入時の保険料が維持され、途中で保険料が上がることはありませんし、保障も一生涯となるので健康リスクが高まる高齢になっても安心です。
併せて終身保険の場合、「貯蓄型」の保険も視野に入れると老後資金準備も兼ねられるので、そちらも安心材料になります。
保険料の払込が終了して以降、仮に解約をした場合の返戻金は貯金よりも高い利率で戻ることが多く、一般の銀行などより貯蓄性が高いのです。
仮に定年などをイメージして65歳で払込が終了したとして、特に現金を必要としないのであればそのまま寝かせておくだけで返戻金が増えていきます。
保険内容によっては、解約返戻金を分割で受け取ることができるものもあるので、年金にプラスした生活費にあてることも可能です。
余裕があるのであれば、「万一の備え」としての死亡保険と「貯蓄」としての終身保険の2つを備えておくのもおすすめです。
他にも個人的に用意する介護保険などもありますが、まずは最低限おさえておきたいこの基本2種類(医療保険・死亡保険)の保険の選び方をライフスタイルごとにまとめてみました。
夫婦+子供
お子さんがいる場合、そのお子さんが自立しているのかどうかで、必要な保障も大きく変わってきます。
自立している場合、今後かかる学費はまず必要がなくなるので、そのために用意していた保険は減額もしくは解約してもいいかもしれません。
その代わりに、自分たちの死亡保険で葬儀代やその後のパートナーの生活が送れるかというポイントに絞った内容に変更してもいいでしょう。
まだお子さんが成人前でまだまだ学費がかかると行った場合、その後に必要な学費がいくらほどなのかを試算した上で、保険の見直しをしてみましょう。
仮に払込期間があと僅かの死亡保険があるのであれば、それは払い込んでしまったほうが返戻金が増える可能性があるので変更しないほうがいいものもあります。
他方、保険金は一定のままの自動更新タイプの場合は、必要金額と更新後の保険料とを見比べて、切り替えるのであればいいチャンスです。
年齢を追うごとに保険料は上がっていくので、保険料と受け取り金額を見比べて検討してみてください。
注意点
結婚や出産を機に保険に加入した方も多いかと思いますが、だいぶ生活にも変化があったのではないでしょうか。
以前はあまり実感がなく保障から外していた疾病特約など、加齢とともにいよいよ必要になってきた保障内容などもあります。他方、お子さんが自立をした場合、大きな死亡保障はそんなに必要なくなってきたというケースも多くあります。
生活スタイルの変化や老後の心配など、新たな問題に対応できるよう、今の保障内容を一度チェックしてみるとよいでしょう。
ポイント
加入している保険を確認し、その保障内容が現在のライフスタイルに合っているか、老後に向けた将来に沿っているかを見直しましょう。
併せて現在の生活習慣病、疾病の傾向やデータ、医療技術に合っているかなどの視点から、それらに適しているのかを念頭に見直すことが重要です。
老後の生活費用を試算し、貯蓄や年金の不足分をまかなえる保障になっているかなど全体的に確認して見渡してみましょう。
50代というと、いよいよ本格的に老後を視野に入れた将来設計を立てる時期になっている年代です。ライフステージの変化とともに、今までの保障内容の確認もぜひ行ってみてください。
まとめ
政府も「人生100年時代」を掲げ、税と社会保障の一体改革を推進し、それに備える体制整備が進められています。そんな長寿時代が訪れようとする今、50代はちょうど折り返し時期になります。今後、安心安全に暮らせるためにも、生活を見直す分岐点といってもよいでしょう。
足りない保障はしっかりおさえながら、不要となった保障は軽減し、生活費のスリム化を図るとともに、老後に向けた準備をしていきましょう。
- 【参考文献】
- 厚生労働省「平成29年患者調査~3 退院患者の平均在院日数等」
- 内閣府「平成30年版高齢社会白書~第2節 高齢期の暮らしの動向~2 健康・福祉」
- 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
- 国立ガン情報センター「ガンに関する統計データ」