最近では、若い女性にも急増している子宮頸がん。 かつては60代の女性がかかりやすいがんでしたが、子宮頸がん検診受診率の高い高齢者は最近発生率が少なくなりました。一方、30代をピークに若い世代の発生率は急増し、25歳から39歳がかかる女性特有のがんの中では最も高い発生率を示しています。(財団法人がん研究振興財団「がんの統計より」)
子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるものです。HPVは性的接触があれば誰でも感染する可能性があるウイルスで、男女に広く存在しています。HPV感染自体は病気ではないため、ほとんどは免疫機能により自然消滅します。HPV感染から癌になる割合は1000人に1人。HPVは、100種類以上の型があり、高・低リスクに分かれます。 高リスク型のウイルス感染が長期間に及んだ場合、一部が異形成という癌の前段階(前がん病変)を経て、がんに進行することが分かってきました。検診で早期発見すれば、確実に治療でき、女性にとって大切な子宮を守ることができるのです。20歳代から年に1回の検診をおすすめします。
子宮頸がんの治療は、がんの性質や進行状況によって異なりますが、外科療法や放射線療法、化学療法が中心となります。ごく早期のがんであれば、子宮を残す手術が可能です。代表的な子宮温存手術は「円錐切除手術」です。これは子宮頸部だけを切除する方法で、術後に妊娠、分娩も可能です。 がんが子宮頸部の外に広がっている場合は、広範な手術や放射線療法が中心となります。
併せて更年期、閉経後の女性は特に注意したい「子宮体がん」。 子宮の奥にできるがんで、40歳代後半から増加、50~60歳代でピークを迎えます。しかし、近年は年齢に関係なく増加する傾向にあるので注意が必要です。 エストロゲン(女性ホルモン)によって増殖するタイプと、それとは関係なく発生するタイプに分かれます。閉経年齢が遅い、出産歴が無い、肥満などがリスク要因とされ、その他糖尿病、高血圧、乳がん、大腸がんの家族歴との関連が指摘されています。
- 出典
- 国立国際医療研究センター
- 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
- 国立研究開発法人国立がん研究センター
- 公益財団法人がん研究振興財団
- 米国議会がん問題調査委員会「OTA」レポート -国際がん研究機関 出米国国立がん研究所