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更新日:2019年5月6日

肺がんについて

肺がんについて

早期の自覚症状は無く、死亡者数の上位を占める肺がん。 がんは日本人の死亡原因のトップですが、その中で上位に位置しているのが肺がんです。(国立がん研究センター「人口動態統計によるがん死亡データ1975年~2014年」) 肺がんは発生場所によって末梢型肺がん(肺野型肺がん)、中心型肺がん(肺門型肺がん)に分類されています。 末梢型肺がん(肺野型肺がん)は、肺の奥にある細い気管支や肺胞にできるがんです。 喫煙影響が多い人も、少ない人も、両方できます。

中心型肺がん(肺門型肺がん)は、肺の入り口に近い太い気管支にできるがん。喫煙が原因となること多い、肺がん。咳や痰が続いたり、痰に血が混ざる症状が、比較的早い段階からみられます。

肺がんの初期段階では多くの場合、何の症状もありません。従って、がんを早期発見する為に検診を受けることが必要です。特に喫煙・非喫煙に関わらず50歳以上の方は、年に1回の検診をお勧めします。 併せてタバコを吸う方や過去に喫煙歴のある方は更に、年1回の喀痰細胞診をお勧めします。

またタバコを吸う方の他に、受動喫煙等で肺がんを心配する方や、可能な限り初期段階で肺がんを発見したい方はマルチスライスヘリカルCT検査がお勧めです。 マルチスライスヘリカルCT検査とは、高精度の低線量マルチスライスヘリカルCTによる、最新の検査方法で、胸部X線検査では発見しにくい、心臓や太い血管や横隔膜の後ろに隠れた癌と、10㎜以下の小さながんも発見可能です。

一般艇に企業(健康保険組合)や市区町村などで行われている検査は胸部X線検査です。こちらは肺の奥の方にできる末梢型肺がんを発見するのに適し、15㎜程度以上のがんを発見可能です。

また痰の中に、肺がんを疑う細胞が無いかを調べる検査が喀痰細胞診といいます。 痰の多くは、肺の入り口に近い比較的太い気管支から分泌される特徴から、中心型肺がんの発見に有効で、タバコを吸う方が対象となる検査です。

肺がんになった後、治療は手術となるケースが一般的です。また再発・転移防止は抗がん剤が中心となる傾向にあります。 手術には外科療法があり、肺の切除手術が一般的です。最も効果が高く、肺がん治療の中心となっています。併せて開胸手術と胸腔鏡を使った手術があります。 その他にはレーザー治療もあり、治療方法は光感受性物質を注射し、レーザー光線でがんを攻撃する「光線力学療法」となります。ごく早期の中心型肺がんに対し効果のある治療です。 また放射線療法は放射線でがんを死滅させる治療法です。一部のがんには「定位放射線治療」という方法も用いられ、それは放射線を多方向から1点に集中させてピンポイント攻撃する治療法です。 がんが小さく、リンパ節転移が認められないケースに限り有効。この他「陽子線治療」「重粒子線治療」といった最新の放射線治療法も注目されています。

治療の基本は外科療法(手術)であり、次いで放射線療法です。抗がん剤ですが、最初から手術出来ない方の治療として、また術後のがん再発を防ぐことを目的とし用いられます。 ある程度の進行肺がんに対しては、化学療法、放射線療法、外科療法のうち2つ以上を組み合わせる集学的治療で、治療成績を改善しようという取り組みが盛んに行われています。

新しい癌治療薬「分子標的治療薬」もあり、一般名ゲフィチニブ(商品名イレッサ、等)はがん細胞だけを中心に攻撃します。副作用が一般の抗がん剤より少ないと言われていて、がん細胞の増殖を防ごうというものになります。これまでの殺細胞性抗がん剤に比べて正常細胞には副作用が出にくいという特徴がありますが、やはり思わぬ副作用がある場合も想定し、注意は必要となります。 治療後は3~4か月に1回通院し、定期検査を行うのが一般的となります。


  • 出典
  • 国立国際医療研究センター
  • 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
  • 国立研究開発法人国立がん研究センター
  • 公益財団法人がん研究振興財団
  • 米国議会がん問題調査委員会「OTA」レポート -国際がん研究機関 出米国国立がん研究所

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