三大疾病とは、「がん(悪性新生物)」「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳卒中」のことを指し、 これらは日本人の死因のうち上位を占める病気です。 三大疾病の特徴は、入院や治療が長期に及ぶことが多く、医療費や介護費が高額になりがち な点が挙げられ、全体の死因では三大疾病が約 55%を占めています。(厚生労働省「2012年 人口動態調査」より) 具体的に三大疾病がどのような病気なのか簡単に見ていきたいと思います。
がん(悪性新生物)
日本人の男性3人に2人が、女性2人に1人(公益財団法人がん研究振興財団「がんの統計’ 15」)が生涯のうちがんに発症しています。 原因はさまざまですが、生活習慣や食べ物、ウィルス、自然界に存在する紫外線や放射線、 過度なストレスによる免疫力低下などによって、それらが複合的に蓄積され、遺伝子にキズ をつけていきます。 長期になりがちの「がん治療」になりますので、毎月の治療費、一定期間(数年分)の治療 費や生活費、収入の減少、休職や退職の可能性も想定してお金の備えをしておく必要があります。
もっと詳しく知りたい方は 2人に1人が、がんになる時代
心疾患(急性心筋梗塞)
私たちの心臓は、血液(酸素と栄養)を行き渡らせる「ポンプ」の役割を担っており、1 分 間に約 70 回、1 日にすると約 10 万回も「収縮と拡張」のリズムをくり返し、血液を全身に 送り出しています。わたしたちにとって重要、且つハードな運動を行っているのが、心臓の 筋肉(心筋)です。 心臓をとりまく冠動脈は、その心筋に酸素や栄養を供給していますが冠動脈に動脈硬化な どが起こると、血管が狭くなったり、血栓ができてつまってしまうことがあります。 そうすると心筋に酸素がいかなくなり、強い痛みをともなう発作が起こり、急速に心臓の機 能が停止してしまいます。 心疾患のなかでも深刻なのが「急性心筋梗塞」です。急性心筋梗塞は、その冠動脈が急に閉 塞し、血液を失った心筋が徐々に弱っていきます。手当てが遅れると、生命にかかわること もある重大な病気です。
心疾患の中でもたくさんの病気が存在します。
脳血管疾患
脳血管疾患とは、脳動脈に異常が起きることが原因でおこる病気の総称です。 脳血管疾患にはいろいろな種類がありますが、その中心が脳卒中です。 脳卒中は、その原因が「血管が詰まる」「血管が破れる」によって、大きく 2 つに分けるこ とができ、脳の血管が狭窄(きょうさく)・閉塞することにより生じる脳梗塞や一過性脳虚 血発作(TIA)などの虚血性脳卒中と、脳の血管が破れて生じる脳(内)出血やクモ膜下 出血などの出血性脳卒中に分けられます。 一般的に前者の場合は「脳梗塞」、後者の場合は「脳出血」「くも膜下出血」などと呼ばれて います。 いずれも脳の一部に血液が行きわたらなくなり、その部位が壊死してしまう、という点は一 緒です。
脳血管疾患の中でもたくさんの病気が存在します。
データで見る 三大疾病の在院日数は?
がん(悪性新生物)は 17.1 日、心疾患は 19.3 日、脳血管疾患は 78.2日となっており、が んと心疾患は、1か月以内の短期入院の傾向が見られます。 しかしながら脳血管疾患の入院日数は、がん・心疾患と比較すると約 4~5 倍となっており、 約 2 か月の入院となっています。
データで見る 三大疾病の通院率は?
入院日数に関しては、1 ヶ月以内の短期入院傾向だった、がんと心疾患ですが、通院率は心 疾患が 69.1%、がんが 57.0%となっており、3 人中 2 人近くの患者さんが通院治療をされ ています。 脳血管疾患についても、通院率は 4 割近いので、著しく低い数字とは言えないようです。 データから分かるのは、三大疾病の治療は入院だけではなく、通院との組み合わせによって 行われるケースも多いということが分かります。 がんの抗がん剤治療、放射線治療、心疾患の服薬、経過観察などは、通院で行われる治療の 代表的な例です。脳血管疾患の場合は、手足の痺れなど運動機能のリハビリ通院が必要にな ることも想定できます。
保障選びのポイント
三大疾病保険に加入しているから大丈夫といっても必ず保険金が受け取れるとは限りませ ん。三大疾病による保険金の支払要件は、保険会社の商品ごとに細かく決められていますの で注意が必要です。
支払い条件を確認
例えば「治療のための手術を受けたとき」「入院したとき」「診断されたとき」「所定の状態 になったとき」などとされていて、各社違いがあります。 特に「所定の状態になったとき」には注意が必要で、がん保障であれば上皮内新生物、皮膚 がん、乳がんなどは対象外であったり、心疾患では「60 日以上労働の制限を必要とする状 態が継続したとき」「20 日以上の入院」や、脳血管疾患であれば「60 日以上の言語障害、 運動失調、麻痺などが継続したとき」「20 日以上の入院」などと要件が設けられていること が多くなっています。
保障範囲を確認
守備範囲に関しても心疾患の場合は急性心筋梗塞のみ対象や、脳血管疾患の場合は脳卒中 のみの対象などがあげられます。 がんは「上皮内新生物」と「悪性新生物」の二つに分けられ、どちらも同条件にて同額の給 付対象なのか、「悪性新生物」のみ対象なのか、もしくは「上皮内新生物」の場合は 10%や 半額、など各社によって違います。
支払い回数を確認
給付金支払い回数に関しても、「1 回のみ」や「複数回」、「無制限」など様々です。
自分にピッタリ合った保険をみつける
それらの保障内容や支払い回数、給付金支払い条件によって、各社保険料に違いがあり、給 付金の支払い条件が厳しい会社は保険料が安かったり、保障が充実している場合は相応の 保険料であるなどこちらも様々です。 自分や家族が心配している、リスクの高いと考えるラインから優先順位を決めて、上から順 番に予算の中で必要な保障を選ぶと保険料も抑えられ、自分にとって保険金給付確率の高い(自分にピッタリあった)保険のかたちが設計できます。
- 出典
- 国立国際医療研究センター
- 国立研究開発法人国立循環器病研究センター
- 国立研究開発法人国立がん研究センター
- 公益財団法人がん研究振興財団
- 米国議会がん問題調査委員会「OTA」レポート 国際がん研究機関 出米国国立がん研究所